ZTE AXON 7とは? コストパフォーマンスに優れたハイスペックスマートフォン
中国の通信端末メーカーZTEは、欧米や日本でシェアが急上昇しています。同社はこれまで低価格帯のモデルを中心に展開してきましたが、ついにハイスペックスマートフォン「AXON 7」を発売しました。この機種は他社のフラッグシップモデルに匹敵する性能を実現しつつ、価格を抑えています。
2016年最高水準の性能が6万円台で
AXON 7もその例に漏れず、上記のスペックを持ちながら、日本国内で発売されたスマートフォンとしては初めて「Dolby Atmos」を採用しています。
BMWグループ企業とコラボした高級感のあるデザイン
外観を見ていくと、全体的に丸みを帯びていることがわかりますが、これはBMWのグループ企業「Design works」と共同で設計されています。
スポーツカーをモチーフとしており、手に持ってみると実際のサイズである151.7mm(高さ)×75mm(幅)×7.9mm(厚さ)よりも収まりがよい感触があります。
他の5.5インチ級のスマートフォンを使ったことがあるユーザーであれば、大きさに戸惑うことはないと思われますが、手の小さい女性が片手で操作するには若干大きめのサイズになっています。
細かなサウンド調整は可能だがゲームでの効果は薄い
サウンド面に関して、本機の特筆すべき点はやはりDolby Atmosの採用でしょう。
Dolby Atmosは、映画館やホームシアターで一般的なオーディオプラットフォームであり、頭上からの音を再現することでより立体的で動的な音を実現します。
AXON 7では、映画用の音声オブジェクトから空間情報を取得し、ヘッドフォンを使用して3次元の音声オブジェクトをレンダリングすることで、臨場感あふれるサウンド体験を提供しています。
サウンドの設定項目は以下の通りです。
- ボリュームレベラー:全体的な音量を一定に維持
- ダイアログエンハンサー:ボイスの聞き取りやすさを向上
- サラウンドバーチャライザー:サラウンドのON/OFF切り替え
- イコライザー:プリセットから選択またはマニュアル設定
Dolby AtmosのON/OFFを切り替えることで、明らかな音質の違いを実感できます。ONの場合は、明確でクリアなサウンドが楽しめ、音楽の各要素がしっかりと聞き取れます。
ただし、ゲームのサウンドに関しては、他の要素に意識が向いてしまうため、Dolby Atmosがどれだけ影響するかは不明確です。
本体には2つのスピーカーしか搭載されていないため、シアターのような臨場感までは再現できないかもしれませんが、Dolby AtmosをONにすれば、スピーカーからも広がりを感じられる音を楽しむことができます。
独自の操作感を実現する機能も搭載
本機の特徴的な点は、ナビゲーションキーにバックキーと履歴キーのアイコンが描かれていないことです。
通常はベゼル部分に配置されるナビゲーションキーが、本機ではベゼル部分そのものがナビゲーションキーとなっています。これにより、バックキーと履歴キーを左右入れ替えることが可能で、利き手や好みに合わせて選択できるのが特徴です。
さらに、「Mi-POP」という画面内に常駐されるフロートメニューも搭載されています。これは画面の一部を隠すことで、片手での操作を手助けしてくれます。
メニュー項目は、画面オフや履歴キー、スクリーンショットなど、日常的に使うアクションが用意されており、最大5つまで設定可能です。ただし、任意のアプリを設定できない点が残念です。
横画面ゲームが快適にプレイ可能!
実際のゲームプレイについて述べていきます。
AXON 7は前面にスピーカーが搭載されているため、横持ちゲームをプレイする際にスピーカーを手で覆ってしまうことがなく、サウンドを楽しみたいプレイヤーにとって最適です。『アイドルマスター シンデレラガールズ スターライトステージ』や『ラブライブ!スクールアイドルフェスティバル』などのリズムゲームも、楽曲をしっかり聞きながら快適にプレイできます。
さらに、両端から手でホールドしてもスピーカーを覆うことはないので、音を出しながらゲームを楽しみたい人には最適な設計です。『Real Racing 3』のようなリアルな3Dグラフィックを使用したゲームでは、滑らかな表示でリアルなグラフィックを楽しめます。また、地面の質感や影もくっきりと表現され、このレベルのグラフィックのゲームも問題なく動作します。
ただし、発熱が気になる場合もあります。『Real Racing 3』を10分間ほどプレイした際、温度は10℃ほど上昇し、最も熱い箇所で53.3℃を記録しました。その後は温度上昇が緩やかになりましたが、高負荷なゲームをプレイする際には適宜休憩をとることが重要です。
金属ボディあるある、バイブレーション、省電力駆動
「AXON 7」の本体はアルミボディで、購入当初の真冬の時期などは、朝起きると端末が冷たくて驚きました。金属筐体を使っているため、ボディには電波を逃がすためのラバーパーツが埋め込まれていますが、NFCのアンテナもこのボディ設計の影響を受けています。
カメラレンズの上部にある細い縦線部分にNFCのアンテナがあるため、NFCを使うときはアンテナ部分をピンポイントでかざす必要があります。例えば、PASMOの使用履歴を見ようとすると、カードに端末をかざす場合でも、PASMOのカード側のアンテナがどこにあるのか分からず、何度もカード表面を往復させることになりました。最初はNFCが機能していないと勘違いし、不具合の情報を検索していました。
端末の稼働時間を伸ばすために、省電力機能も搭載されています。アラームアプリなどは初期設定の影響を受けており、バックグラウンドでの動作に失敗することがあります。省電力機能はアプリごとに設定できるので、対処できれば問題はありませんが、挙動が以前と異なる場合は注意が必要です。
また、環境光センサーによる画面輝度の自動変更機能はやや鋭敏で、天井の照明が直接当たるだけで画面の明るさが変わります。
実際使ってみた感想
ZTEの「AXON 7」の外観で特徴的なのは、画面下部のナビゲーションボタンが画面外でタッチ式になっていることです。この特徴は、「AXON 7 mini」とはっきりと異なる点でもあります。ただ、このボタンにはバックライトがないため、夜や暗い場所では見えにくくなります。
通常、ボタンが見えなくても、ホームボタンなどの位置はだいたい分かりますが、「AXON 7」の場合、ホームボタン(◯)の両脇にある点のボタン(・)が中央に寄って配置されています。そのため、左側の戻るボタンや右側の履歴ボタンを押そうとしても、微妙に場所を外してしまうことがあります。周囲が暗いとバックライトがないため、ボタンの位置が確認しにくくなります。この問題は慣れれば解決しますが、最初は使いづらいかもしれません。
さらに、これらのナビゲーションボタンは物理的な押下がなく、画面とシームレスな面で存在しているため、タッチやフリック・スライド操作との相性が悪いこともあります。例えば、日本語入力中にボタンを下側にフリック入力すると、画面の外にあるホームボタンに触れてしまい、文字入力中にホーム画面に戻ってしまうことがあります。この問題は、アプリによっては入力中の文章が消えてしまうこともあります。他にも、リストや画面を引っ張って更新するタイプでも、操作中に画面の外にあるボタンに触れてしまい、ホーム画面に戻ってしまうことがあります。
この問題は、指を強く押し付けて連続してスライドさせる場合には起こりにくいですが、軽く触れるだけやフリック操作のような動きでは起こりやすいようです。現代のスマートフォンのタッチパネルの精度が高いため、軽いタッチやフリック操作が意図しない動作として認識される可能性が考えられます。